CS-GIIIが日本で発売されて1年。
発売以来ずっと気になっていた機種なのですが、友人が「しばらく使ってて良いよ」と言うのでこれは渡りに船とばかりに遠慮なく借りてきました。約1ヶ月間じっくりと試奏できたので私なりにCS-GIIIのレビューを書いてみようと思います。
CS-GIIIってどんな楽器?
CS-GIIIは元々ヨーロッパで開発、発売された機種とのこと。
北アメリカで原型のCSGが作られそこからCS-GII、CS-GIIIと派生したようです。
その中でもヨーロッパで作られたCS-GIIIの評判が良いということから逆輸入という形で日本でも発売になったそう。
フランス放送響首席のジェローム・ヴォワザン氏がテスターとして開発に関わっていたのは有名ですね。ヴォワザン氏自身もこの機種を使用しています。現在、ヤマハのCS系最上位機種になります。
実際に1ヶ月使用してみて
良い意味でヤマハっぽくない
吹いてみてまず浮かんだワードは「ヤマハっぽくない!」
これまでのヤマハのクラリネットとは大きく印象の異なる楽器だと思います。音色もそうですが、吹き心地がヤマハじゃないみたいです。
ストンと素直に息が入り、朴訥に響く感覚。感覚なので何とも表現し難いのですが…とにかくこれまでのヤマハとは一線を画しています。
数年前に発売されたアーティストモデルとは対局にあるような印象を受けます。アーティストモデルはこれぞヤマハ!という印象の楽器です。
アーティストモデルは内径がSEベース、CS-GIIIはCSベースなので、印象が異なるのは当然のことなのですが、内径以上に求めているものが全く違うような気がします。
ざっくりした印象で言うと、
響きのある音色を求めたアーティストモデル
安定感を求めたCS-GIII
といった感じでしょうか。
抜群に良い音程
音程の良さはヤマハの一番強みであり、特徴でもあると思いますが、このCS-GIIIは中でも特に音程が良い機種だと思います。
「ここは奏者側でどうにかしないと」という部分がない。
普段クランポンを吹いていて音程で苦労しているところでも全くストレスなく音程がハマります。
特に高音域の音程が素晴らしい。クランポンでは下がり気味になるところでも下がることなく吹けます。
音色感がもう一歩
CS-GIIIは朴訥だけど響きが少ない訳ではない独特の音色感を持っていますね。聴いていて落ち着く、心地良い音だと思います。ただ、自由度が低いというか音色の幅は狭め。
これは完全に私の趣味ですが、私は自由度が高い楽器が好きなので、奏者側に委ねられる部分をもう少し広く取られている方がより楽しく演奏できるかなというのが正直な感想です。
良い音なんですけどね。ちょっと窮屈に感じる瞬間があります。
個人的にはここだけが惜しい!
まとめ
全体としてはかなり良い楽器だと感じました。
楽器としての安定感が素晴らしいので、特に緊張した本番では頼りになる相棒という感じ。本番でも使用してみましたが、なかなかの好印象でした。
音色の幅さえもっとあれば買っても良いかも。ヤマハでここまで思った楽器は初めてです。
自国のメーカーとして頑張って欲しいですね!応援しています。
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