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クランポンの新機種“Tradition”

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クランポンから発売された新しい機種 Tradition
日本でも発売されてから1年ほどが経ち、もう新機種って感じでもないですが…

先日、A管B管ともにかなり多くの本数を吹く機会があったので、そのときの感想をレビューにしてみたいと思います。

 

 

Traditionってどんな楽器?

一番の特徴は内径(ボア)。
R-13系やRC系とは異なる内径で円筒形ボアだそう。調べたところによると、1950年代以前の主力機種だったBC20の現代版といったところみたい。

BC20って見たことも吹いたこともないけど、昔のクランポンの楽器としてはよく耳にする機種だったのですが、円筒形ボアだったんですね。知りませんでした。

現代のクラリネットはほぼ全てが多円筒型ボアと言って良い状況ですから、クランポン随分思い切ったなと思います。

▼BC20はこんな見た目な楽器

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開発にはアメリカのテスターが随分入っているようですし、発想としてはVintageと似たような感じでしょうか。″古き良きクランポンを懐かしむ″的な。Tradition(伝統)という名前にも現れていますよね。

Vintageは1960年代のR-13をベースに開発され、今でもアメリカでの評価はかなり高いようです。私が師事していた先生も「VintageはBuffetの中で最も良い楽器だ」とべた褒めしていました。
ヨーロッパ(特にフランス)で吹いている人はほとんど見掛けたことがないし、日本にもほとんど入荷されないというのが現状のようですが。
Traditionも似たような状況になるのか、ヨーロッパでも受け入れられる楽器なのか。
今後をチェックしていきたいですね。

話が逸れました笑
Traditionのレビューにいきましょう!

 

実際に試奏してみて

色んな意味で中間

TraditionはR-13・RCとFestival・Prestigeの中間にあたる価格帯に設定されていますが、価格だけでなく様々な面において、まさしくこの中間にある楽器だなと感じました。

R-13RCは自然な響き、吹奏感を持っていて、誰もが認める楽器です。私も大好きな楽器。柔軟性があり吹いていて気持ち良いです。
でもそんな楽器にも欠点はあって、いかんせん音程と均一感が仕事の現場で使うには少々頼りないという印象なんです。不安になる瞬間がある。

Festival・Prestigeはそういった欠点が見事に補正されていて、音程や均一感が抜群に良い楽器。そのトレードオフとして抵抗感が増し、柔軟性、フレキシブルさが若干ですが失われる。というのが私の意見です。

自動車のMTとATの関係性と似ているかもしれません。どちらが良い悪いというものではなく、好みにより柔軟性と均一性どちらを取るかという状況なんです。

Traditionは丁度その中間くらいに設定されていて、吹いていて気持ち良い自然な響き、吹奏感を保ちつつ音程・均一性もなかなか。バランスの良い楽器だと思います。
「うまいこと作ったな」というのが第一印象。

 

第3の内径

クランポン自ら「第3の内径」と謳っているだけあり、確かにR-13系でもないRC系でもない、今までに吹いたことのない吹奏感です。
BC20を知っている世代にとっては「懐かしい」となるのかもしれませんが、昔のクランポンの楽器を知らない私にとっては新鮮でどこか不思議な吹奏感だなと感じました。


具体的には、
鳴りの重心が低く、抵抗感は程良い重さがあります。
反応が速いですが、決して軽い訳ではありません。
どちらかというとR-13に近いのかなと思いました。

人が吹いているのを聞いても自然な響きで良い感じです。
R-13系ともRC系とも違う音がします。
今までのクランポンの音とはどこか違う音に特徴のある楽器だなと思いました。

 

まとめ

最近の新しい楽器やマウスピースって、どう吹いても良い音良い音程が出せるオートマチックな方向に向かっている気がするんです。
それらは間違いなく素晴らしいことであると思います。
しかしそれらは自然な響きであるとか、音色感の幅、個人個人が持っている音を引き出すことができない方向でもあるのではないかなと感じます。

Traditionは久々にそれらを感じることの少ない楽器だなと思いました。
良い意味でニュートラルな部分を残した楽器だと思います。
皆さんもチャンスがあったら試してみてくださいね!