記事更新日:2017年10月5日
皆さんは普段どうやってクラリネットをチューニングをしていますか?
ほとんどの人はタルを抜いてチューニングをしていると思います。
それは決して間違っていません。
しかし、タルばかりを沢山抜いてしまうと楽器全体の音程のバランスが崩れてしまうのです。
バランスが崩れた状態で「ここの音程が悪いんです」と助けを求めてくる生徒の多いこと多いこと。
きちんとチューニングをしてあげるとそれだけで改善することがままあります。
バランス良く上手にチューニングをして、気持良く楽器を吹きましょう!
チューニングの仕組みを理解しよう
まずはクラリネットのチューニングの仕組みを理解しましょう。
クラリネットにはチューニングできる場所が3箇所あります。
・タルと上管の接合部(以下「タル」と書きます)
・上管と下管の接合部(以下「ジョイント」)
・下管とベルの接合部(以下「ベル」)
3箇所それぞれ、影響のある音が異なるので覚えておいて下さいね!
タルを抜いた場合
楽器全体の音程が下がりますが、特に上管の音が下がります。
開放のソ・ラ・シ♭やレジスターキーを押した上のシ・ドはかなり下がります。
下がり過ぎないように気を付けながら抜きましょう。
ジョイントを抜いた場合
下管の音とソの音が下がります。
ジョイントを抜いたときには上管と下管を繋いでいる連結キーがずれていないか必ず確認するようにしましょう。
ずれてしまうと音が出なくなってしまいます。
ベルを抜いた場合
最低音のミとシが下がります。
クラリネットのミとシは音程が上がる音ではないので、実際にここを抜くことはほとんどありません。
実際にチューニングしてみよう
チューニングの仕組みは理解できましたね!
それでは実際にチューニングをしていきましょう。
チューニングB♭(記譜ド)・開放のソ・オクターブ下のB♭(記譜ド)の音程を確認
まずはこの3つの音を確認します。
3音とも高い場合
タルを抜きましょう。
オクターブ下のB♭、開放のソいずれかが合ったら、チューニングB♭がまだ合っていなくてもそこで一旦ストップ。
チューニングB♭は合っているけど、オクターブ下のB♭(記譜ド)と開放のソが低いという状態にならないように注意です。
オクターブ下のB♭(記譜ド)と開放のソのチューニングは合っているが、チューニングB♭が高い
ジョイントを抜きます。
チューニングB♭が合ったら、下画像の2音(オクターブ下のB♭とレジスターを押したソ)が下がりすぎていないか確認しましょう。
オクターブ下のB♭とレジスターを押したソが下がり過ぎた
ジョイントを少し入れてタルを少し抜いてみます。
タルとジョイントの抜き具合のバランスを変えて、丁度良いところを見つけましょう。
最初に確認した3音(チューニングB♭、オクターブ下のB♭、開放のソ)が合うように調整して下さいね。
重要なのはタルとジョイントのバランス
以上のようなことを繰り返して、バランスの良いところを探ります。
バランスは楽器によって違うので、自分の楽器のベストなチューニングポジションを探してみて下さい。一度わかってしまえばあとはそのバランスを保ったまま抜き差しを調整するだけです。
コツはチューニングB♭にこだわり過ぎないこと
こんなことを言ったらバンド指導者に怒られそうですが…
実はクラリネットのチューニングB♭は少し高めに響く音です。
チューニングB♭にこだわり過ぎると楽器全体の音程が低めになってしまうことがあります。
管楽器はその特性上、ピアノのように全ての音を完璧にチューニングにすることはできないのです。
どの音もだいたいメーターの真ん中あたりに来るようにチューニングするのがコツですよ!
おわりに
楽器やマウスピースの種類によって音程の傾向は変わります。
一度チューナーで全ての音を測ってみて自分の楽器の癖や傾向を確認してみましょう。
そして、どこをどのくらい抜くとどの音がどのくらい下がるのかがわかると、チューニング精度がぐんと上がりますよ!